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第5章 再開2

私は思わず中野さんまでかけよって抱きついた。

「本当に本当にありがとう。一生忘れられない思い出になったよ」

「なんか大げさだなぁ」

その時、私の携帯が鳴った。

私は総一郎と表示されてディスプレイを
確認して、中野さんから離れて

「ごめんなさい。」

といって着信をとった。

個室から出て通話ボタンを押すと総ちゃんが
興奮気味に話始めた。

「ちょっと、ちょっとななみぃ〜!!!
 現場はどうなの?どうなってんのよ〜〜〜??」

「あのさ、まだ一緒にいるから後でにしてくれない?」
冷静に応える私。

「あらっあんた、もう私下に車つけてるわよ?早くしてくれない?」

「え?」

「迎えに行くっていったじゃない。ヤキモチ焼かせる作戦よ。
 そのために、あたしばっちり男前で決めてきたんだから。
 し、か、も、見てすぐ分かるように真っ赤なポルシェできたわ♡」

「え?え?」

「それに藤堂さんの所いくんでしょ?時間厳守よ。
 5分後に下でね」

言うだけいって総ちゃんは一方的に電話を切った。
息を軽く吐いてから個室に戻った。

「中野さん、ごめんなさい。このあと用事があって…」

「え?あ、そうなんだ、じゃ行こうか」

「今日は本当にありがとうございました。もう一生忘れられない思い出になりました」

「大げさだな。そうだまた今度食事に行こうよ」

そんな会話をしながらエレベーターに乗り込んだ。

「機会があったらぜひ」
少し他人行儀な言い方をした自分に驚いた。

「連絡するよ。」

そういって少し後ろにいる私の方に中野さんは振り向いた。
そして私の頬に手を添えて唇を重ねた。

この一連の流れが私にはスローモーションに見えた。
避けようと思えば避けられたはずだけど体が動かなかった。

私はエレベーターが開いた時に我に帰った。
しまった。なんて事をしてしまったんだ。

中野さんが私の手をとろうとした瞬間

「迎えてがきているので。」
といって頭をさげ、エントランスの外へ向かった。

エントランスのガラス越しでも分かる
真っ赤なポルシェを私は見つけて、
小走りに駆け寄った。

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