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歌に載せて

第5章 Oh yeah!


潤「翔くん

もう朝だよ?

家帰らないの?」




後ろから心配げな声で潤が話しかけてくる


翔「お前こそ

なんか話があるから真夜中に俺のバイト先まで来たんだろ?」



潤「……」


翔「まぁ、言いたくなかったらいいんだけどさ」


潤「…




あのね……
俺、今まで翔くんには黙ってたんだけど


卒業したら東京行こうと思ってる

俺、俳優になりたいの」



知ってた


本人が言わなくてもこの時期
誰が上京するらしいなんて噂はかっこうの話のおかずになったから


翔「そっか…


じゃあ卒業したら離れ離れだな」


お前が俺のそばから居なくなるのは寂しい


正直行って欲しくない


潤「うん…ごめんね」

その言葉と、ギュッと握るその手
俺のシャツを濡らす涙



それだけでお前の気持ちは十分すぎるほどに伝わってきた



俺はお前の夢を応援するよ



卒業式はいつもはいかつい男子や仏頂面の教師までもみんな目には熱いものがあった



お前は泣き虫だから洪水状態になっていて


それを強くこするものだから目は赤くなっていた


俺は痛くならないように制服の袖でまだ出続けているソレを拭った


するとより出てきて泣きやませるのが大変でまるで子供のように


頭をポンポンして落ち着かせた

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