
君は少しも悪くない。たぶん
第7章 IROあせない、想い
エレベーターを降り、長い絨毯の廊下を進むと、何かの音が聞こえた。
不審に思って足を止めて耳を澄ましてみると、
…それは微かな嗚咽。
“なんで?”
声にならない疑問が浮かぶと同時に、胸騒ぐ予感がした。
ヤバい。
突き当たりを右折すると…
ビンゴ。
「しょうちゃん…」
翔ちゃんが、俺の部屋の前でうずくまって泣いていた。
彼はゆっくりと顔をあげた。
涙に濡れた顔も、真っ赤な目も
キレイ
その一言で片付いちゃう
「まさ…っく…き…」
しゃくりあげながら俺にフラフラと近づいてきた。
「しょお…ちゃん?」
翔ちゃん、まだ俺は自分の部屋の扉を潜ってないから
本性をだせないけど
だからあなたに対しても偽りの言葉しか言わないけど
「だいじょうぶ…?」
思い切り俺を抱き締めたあなたに、俺が思うのは
“アイシテル”
いくら届かなくても、
叶わなくても。
