誰かお願いつかまえて
第5章 夢か現実か
――長い道のりで私が少し眠くなってきたときだった。
(岡崎さんの右手が変色してる…?)
高速の料金所の光に照らされて、よく見ればやっぱり赤くなっている。
(もしかして……お化け屋敷のとき私が握りすぎた…?)
眠気なんて吹き飛んだ。
『岡崎さん!その手、あの……私が…』
「ん?あぁ、これか」
『すみません!私、力加減できなくて!!』
「謝るなって!元はといえば俺がお化け屋敷つれてったんだからな。
今日の思い出にしておくよ」
『……』
前を向いたまま頭を撫でられれば何も言えなくなってしまう。
(痕がつくほど握るとか、私ほんとに女子じゃないなぁ……)
それにしても周りの人に女子じゃないとか言われるのも結構傷つくけど、自分で自覚するのもつらいもんだなぁ……
「幸村、寝なくていいのか?眠そうな顔してたけど」
『だ、大丈夫です!』
さっきのバレてたの!?
「明日は仕事なんだから、今のうち寝とけ
……家ついたら起こしてやるから」
優しくそう言われるとまた眠気が戻ってきた。
(不思議だな……岡崎さんといると落ち着く………やっぱりお父さんだな………)
あの包容力は子どもでもいるのかな、でも独身って言ってたしな…そんなことを考えていると徐々に何も体が重くなってくる。
そうして眠りに落ちた―――