誰かお願いつかまえて
第8章 持つべきものは………
「こうでもしないと……ナミは泣かないし、本音も言わないから…」
大量の酒を幸村にすすめた夏海は哀しそうな顔をしていた。
酒を飲みきった幸村は机に突っ伏してしまった。
「無意識に避けてたのかな、恋愛……
私、嫌なことしちゃったな…」
珍しく弱気な夏海の姿に心配になった。
そこにはタチの悪い俺の元カノを追い払ってくれた面影はなかった。
「そうかもしれないけど……
それは夏海のせいじゃないだろ?
それにコイツも璻…俺らの友だちから大地の結婚の連絡もらったときは、意地張って強がって電話切ったみたいだけど
今はちゃんと話できるくらいには整理できてるんだよ」
「そうかな……そうだといいけどな…」
幸村にと持ってきたワインを2人で飲む。
「会社の話するときはね、楽しそうなの。
3人でチーム組んでるらしくて、1人が優秀な上司でもう1人が頼れる同期らしいよ……
日曜に一緒に出かけたっていう会社の人、早くナミのこと落としてくれないかな…」
「そうだな…」
そうしたら大地に縛られてる幸村も変わるかもしれないし……