誰かお願いつかまえて
第8章 持つべきものは………
「あ、もしもし、川端駿さんで間違いないですか?」
ん?幸村じゃない!?
幸村の声よりかなり低めの女の声がした。
「あんた誰だ!」
「あ、申し遅れました。私、波香の高校時代の同級生の柚原 夏海と申します」
…しゃべり出す前に笑ったの聞こえてるんだからな、柚原さん!
まぁ幸村の高校は女子校だったっていうし、この人は安全か。
「…取り乱してすみません。川端です
幸村に何かあったんですか?」
「実は酔って寝てしまって……私が送ってあげられないんで、発信履歴に出てきたあなたにかけさせてもらいました。
…川端さんはご存知ないかもしれないですけど、波香、お酒とっても弱いんですよ」
いや、知ってるし!なんでこんな刺のある言い方するんだ、この人……
ていうか、アイツまた飲みすぎたのかよ……
ほんとに無防備なやつなんだから……
「…それは知ってます。
でもとりあえずあなたがいてよかった……連絡してくれてありがとうございます。
今から迎えに行きますので。
幸村と女子会でもされてたんですか?」
女の話は長いからな。こんな時間になってもおかしくないだろ。
「そうしてくれるとありがたいですー。
…あの、勘違いなさってるようなので説明いたしますと
波香は今夜私が出るライブに "1人で" 来たんですね?」
…夜の時間帯に、1人で??
あのバカ!!!