誰かお願いつかまえて
第8章 持つべきものは………
私、幸村波香、26歳にしてお姫様抱っこ初体験///
…じゃなくて!!
『ちょっ!私、歩けるって言ったじゃん!!降ろして!!』
「はいはい」
返事をしながら私のカバンも持って、歩き出す。
降ろす気ないじゃん!!
『ねぇ、川端――』
「幸村、このボタン押して?」
急に立ち止まって私の言葉を遮ると、目の前に車の施錠ボタンを出してきた。
仕方なしにそれを押すと
「サンキュ」
と言ってまた歩き出す。
『重いから!降ろしてよ!!』
「あぁ、知ってる。だから動いて余計な力使わせんな」
知ってるとか言われるとさすがにへこむんだけど……
どうせ、何を言っても降ろしてくれる気はないんだろう…
私は諦めて川端に掴まった。