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誰かお願いつかまえて

第8章 持つべきものは………



―ガチャン


玄関のドアを閉めると、川端はようやく私を降ろした。


靴を脱ぐ間も、離れようとはしなかった。


…心配させちゃってるな……


「こっち」


私が靴を脱ぐと私を奥に連れていき、洗面所で手を洗わせた。

洗ってる間もずっと近くにいて、私はさっきから気が気じゃない。



「ベッド、使っていいから」


ものの少ない部屋の隅にあるベッドは黒を基調とした落ち着いた感じだった。


私の部屋より片付いてる……って、そんなこと言ってる場合じゃないし!!



『川端は?』


「俺は床でいいから。――手はつないどいてやる」


そう言って私からコートを脱がせると、布団の中に私を押し込んだ。



川端の匂いのする、ひんやりとした布団。


コートをかけて戻ってくると、ベッドサイドの照明以外を決して私と手をつないでくれた。




「これで大丈夫か?」


私に背を向けるようにしてベッドにもたれ、座り込んでしまった。





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