テキストサイズ

誰かお願いつかまえて

第9章 女たちの戦い




『なに、コレ……』



何やら取っ手がベタベタする。まるで、テープを剥がしたあとのように。



違和感を覚えて前面に触れてみると、やっぱりベタベタする。……気持ち悪い。



『はぁ……』


無意識にため息をついていた。何この新しいタイプ。



わざわざテープを貼って剥がすなんて、本当に暇人なのね。


「…幸村さん?」


着替え終わった南ちゃんの、気遣うような上目遣いに私はハッとした。


『え!?あ、なんでもない!

早く着替えなきゃね!

お疲れ様ね!』



「幸村さん……私、待ってます」


『なーに言ってんの!?

早く帰らないと、南ちゃんみたいな可愛い子には危ない時間だよ?ほら行って?』


私がまくし立てると、なぜか申し訳なさそうに頭を下げて退室していった。





『………もう、ほんと、嫌になる』


一人っきりの更衣室に私の声は吸い込まれた――――






ストーリーメニュー

TOPTOPへ