誰かお願いつかまえて
第1章 私ってやつは
『結婚、するんだ………』
やっと声が出せた。
「あぁ。
昔幸村のことフッたことが気になってて…。
俺が幸村に未練がないってことを
はっきりさせておきたかったんだ」
『そ、うなの………』
ダメだ、泣きそう。
でもダメ。ここで泣くなんて本当に情けない女にはなりたくない。
『おめでとう!!!
本当は私もちょっと気になってたけど、もう安心だね!!
人見知り激しかった大地が結婚なんて!
本当によかった!
おめでとう』
大丈夫。ちゃんと笑えてる。
「ありがと!
幸村にそこまで喜んでもらえると俺も嬉しい」
ニカッと笑うその姿は私が一番好きだった大地の表情。
「実は、幸村に最初に伝えたかったんだ!
安心させたくて……
だから、璻にも遼にも英雄にもまだ言ってないんだ!」
『そうなの!?1番って嬉しいな』
大地の言葉も、嘘をつく私の言葉も
私の心を抉っていく。
「それだけ!
じゃそろそろ帰るな!
…腹出して寝るなよ?」
『そんな寝相悪くないわ!』
…あぁ、やっぱり大地とどうにかなろうなんて間違ってたんだ。
部屋の玄関まで大地を送る。
これが最初で最後。
もうあなたを
見送ることはない。
『…じゃ、今日はありがと。
迷惑かけてごめん』
「どういたしまして。
…式来いよ?」
『うん!』
「じゃあな」
ガチャン
ドアが、閉まった