誰かお願いつかまえて
第2章 仕事人間
1階に降りると女子社員の目が集まる。
そしてため息をついて目をそらされる。お目当ての川端や岡崎さんがいなかったからだろう。
(ため息つきたいのはこっちだよ…)
多くの社員に勘違いされているのだが、
私と川端と岡崎さんの3人で組んでるとは言ってもいつも一緒に動くわけではない。
3人である程度のお客様を担当してるわけだが、各お客様の担当は決めていない。
最初の挨拶は3人で行くが、それ以外は大体1人で行くものだ。
それに三者三様に得意不得意があるから仕事の内容もバラバラ。
川端は、人当たりもいいし体力もあるけど一番得意なのはデスクワーク。
学生時代にサッカーをやっていたという逞しい体で、器用に事務仕事をしているのを見ると少し笑える…
あとは、クレーム対応。私や滅多にやらかさないけど岡崎さんがやらかしたり、どうしても頭を下げないといけない部分では川端が一緒に来てくれる。
なぜか川端が行くと上手くいくんだよね、これが。
彼と同期入社なのに差がありすぎるなんて、私が未熟者なんだな…
お客様の中には、1度川端の謝罪する姿を見たら彼のことをたいそう気に入って
「うちに来る時はぜひ君が来てくれ!」
なんて言う人もいるくらいだ。