誰かお願いつかまえて
第2章 仕事人間
「南、ちょっと」
俺が呼ぶと振り返って少し、いや、あからさまに嫌そうな顔をする南。お前、幸村に見えてないからいいと思ってるのか。
俺のデスク幸村の隣だし、そんな引き離そうとしてるわけじゃないんだけど。
『なに?川端が南ちゃんに用事なんて珍しいね』
座っている幸村が自分に背を向けている南を後ろから抱きしめて横から顔を出す。
一瞬だけ緊張でビクッとした南は勝ち誇ったように俺を見る。
いや、お前何に勝ったんだよ。
「…南、ちょっと来い」
南は流石にまずいと思ったのか、目が泳いでいる。
『ちょっと、南ちゃんのこといじめないでよ?』
(誰のためだと思ってんだ!!)
「そんなことするか!…仕事の話だ、行くぞ」
とりあえず南のことを廊下に連れ出す。