誰かお願いつかまえて
第1章 私ってやつは
『みんな、ひさしぶり!』
「ほんとお前卒業してから全然見かけなかったけど引っ越した?」
「てかあの頭いい女子高入ってどこの大学行ったんだよ?!」
いきなり質問攻めにされる。
『引っ越してないから(笑)高校の時は忙しかったしみんなと学校離れてたからね…
大学はほんとにギリギリで入っただけ!今は就職して営業部で働いてるよ』
「にしてもお前なかなか顔出さないからみんな忘れかけてたんじゃねーの?最後に会ったのって…成人式か?!」
半笑いでそう言ったやつに他のやつらも便乗する。
「うわっ!もう6年も前じゃん!」
「あの頃は若かったよなー、お前」
『今でも十分若いでしょうが!まだ26だし!』
「まぁまぁそのくらいにしておいてやれよ。本気で怒らせたらここら一帯吹き飛ぶぞ」
『璻(スイ)!いいかげんにして!』
ベシッと璻の頭を叩くと大袈裟に痛がりながら私の分の場所を空けてくれた。私の左隣にストンと腰を下ろした橋本(ハシモト)璻は、男子の中でもとりわけ仲が良かった。
歓迎してくれてるのかよく分からないが、来て早々大声で騒がれてなんだか疲れてしまった…
『はぁ………』
思わずため息をついた時だった。
「ひさしぶり、幸村」