誰かお願いつかまえて
第4章 俺はお父さんなんかじゃない
「-おい、大丈夫か?」
『ん~大丈夫だってー』
さっきよりは口調も僅かだがしっかりしているし、1人で歩けそうだ。
…ただ、とろんとした目で川端に寄りかかって離れない。
無意識に上司の俺と同期の川端とを分けているんだろうか。
俺の方には来てくれない。
♪~
幸村の携帯が鳴ると、彼女はカバンから携帯を出して俺たち2人から少し離れた。
『もしもし、璻?
突然どうしたの?なんかあった?』
スイ…友人だろうか。
そう思ったがその後に聞こえてきた声が男のものだと分かって、俺も川端もなんとなく彼女のそばに寄る。
『正解!でも酔ってはないよー!』
「いや、酔ってんだろが」
俺も思ったことを川端がボソッとつっこむ。
そして男が何か喋った声が聞こえた瞬間幸村の顔が変わった。
今までふにゃっと力が抜けていたのに表情が硬くなった。
そしてしばらく男だけが喋った後、
幸村が無言で涙をこぼした。