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誰かお願いつかまえて

第4章 俺はお父さんなんかじゃない




「あいつ、また…」


川端の声で月曜の幸村の表情を思い出した。


(もう、無理やり笑わせたくない…!)


「川端、ごめん」


なんとなく謝って俺はすぐに彼女を追った。








――


(酔ってたし、そんなに速くは走れないはず!)


酔っている幸村を川端と送ったことがあるから家の場所は分かっている。

幸村の家は会社から2駅離れているが、飲んでいたBARが会社から遠いから
ここからなら徒歩で帰れる距離だ。


「ハァハァ…

どこまで、行ったんだ…?」


体力には自信があったが走っても走っても彼女の姿は見当たらない。



幸村のマンションの前まで来たとき入っていく姿が見えた。


「~っ!幸村!!」

そう呼んだのが間違いだった。

振り向いて俺に気づいた彼女はまた走り出す。



エレベーターに乗った幸村のあとを追って階段を駆け上がる。
5階まで上がると鍵を開けているところだった。


(間に合え!!)



キ-、ガタガタン!


『っ!』


「ハァ…ハァ……セーフ、だな」

なんとか閉まるドアの隙間に足を滑り込ませた。


『…1人にして…』

うつむいた彼女はすでに泣いている。


「…ごめん、無理だ」


無理やり体を彼女の部屋の中に入れた。




『同情、してほしくないんです…っ!』


俺の体を押してくる両手を掴む。






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