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桜並木を見おろして【ARS・O】

第1章 個展

「おーちゃん、寂しいね。私が彼女になってあげるよ。」

「また出た、お前の“おーちゃんラブ”」

「本当に先生のこと好きだよね。」

女の子は、まわりの高校生たちに口々に突っ込まれた。

「いいじゃん、おーちゃんかわいいんだから!」

美大時代も、大野さんには何人も彼女がいたらしい。

本当に女性にもてるのだな。

本人はごく自然体なのに、どこかひきつけられる。

いつの間にか好きになってる。

私の知らない10年に、大野さんには何人の恋人がいたんだろうか。

どんな恋愛をしていたのだろうか。

「大人をからかうんじゃねぇ!」

大野さんが耳まで赤くして叫んだ。

そう言ってる大野さんが、一番子供みたいだった。

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