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桜並木を見おろして【ARS・O】

第12章 桜

しばらく抱きあって入選を喜んだが、ハッと我にかえって体を離した。

「…おめでとう。」

「あんがと…。」

しばらく、沈黙がながれた。

「展示はまだまだ先だけど…、一緒に美術館に見に行こ?」

大野さんは、私の肩に両手を置いた。

「今度は絶対すっぽかさないからさ…。」

「おおきに。楽しみにしてる。」

私は厨房に戻り、大野さんの食事の用意をした。

アサリのパスタとサラダ。

グラスに白ワイン。

「小春ちゃん、パスタなんて作るんだね。」

大野さんが目を丸くした。

「店で出さないだけで、普段は何でも作るよ。」

「へー、そうなんだ。」

私もグラスにワインを注いで、乾杯した。

「入選おめでとう。」

カチリとグラスを合わせた。

大野さんは、うまいうまいと言いながら、あっという間にパスタを平らげた。

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