テキストサイズ

桜並木を見おろして【ARS・O】

第14章 エピローグ

改札を抜けて出口を曲がると、大野さんが立っていた。

「おかえり。」

「どうしたの?こんなところで。」

大野さんは、私の手提げ袋を受け取った。

「煙草切らしてたから、買いにきたついで。」

さっき聞いてきたスエットをはいている。

ふたりでマンションに向かって歩き出す。

「今日のおかずおいしかったよ。ハンバーグ、店でも出したら?」

大野さんは、今日も冷蔵庫のおかずをチンして食べていた。

「うん。でも、ハンバーグ作れとか唐揚げ作れとかうるさいお客がいるから…。おばんざい以外は絶対に出さへんのや。」

大野さんは、ははっと笑った。

「小春は頑固だな。」

「智さんほどではないわ。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ