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桜並木を見おろして【ARS・O】

第4章 宴

私はドキッとした。

私は今まで、大野さんが私のことをどう感じていたのか、聞いたことがない。

「智の、小春姉さんの第一印象?聞きたい!教えて!」

アッコさんが、大野さんに詰め寄った。

大野さんは頭を掻きながら、ポツリポツリと話し出した。

「4回生になって卒業制作始めるとき、教授に小春さんを紹介してもらったんだけど…。」

「それは知ってるよ。」

タケシさんが苦笑いしている。

「美大の玄関ホールで待ち合わせしたんだけど、俺、約束の時間ギリギリに行ったら、もう居てたんだよな。」

そう、あの日、私は約束の時間の10分前に美大に着いて、玄関ホールで待っていた。

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