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桜並木を見おろして【ARS・O】

第7章 桜月夜

「西村のエイセイボーロ!」

大野さんが、にっこり笑って私に見せた。

「これ、うまいんだよね。似たのは東京でも売ってるけど、西村のはないんだよね。」

大野さんは、ウキウキとエイセイボーロの袋をカゴに入れた。

その顔は本当に子供みたいで、私もつられて笑った。

「あ…、笑った。」

大野さんの言葉に、私はハッとした。

「小春さん、今日はずっと緊張してるみたいでさ。無理に京都に連れてきて悪かったな…、って。」

大野さんは、申し訳なさそうに首筋を掻いた。

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