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桜並木を見おろして【ARS・O】

第7章 桜月夜

「無理に、なんて…。誘ってもらって、嬉しかったです。」

そう言うと、大野さんの顔がパッと明るくなった。

「そう、よかった。あのさ、お願いがあるんだけど…。」

大野さんが、やけにもじもじして言った。

「西村のエイセイボーロのCMあるじゃん?舞妓さんがエイセイボーロ持って“うち、大好きどすねん”って言うの。あれ、やってくんない?」

「………、は?」

あまりにすっとんきょうなお願いごとに、思わず声が出た。

「ごめん、嫌ならいいんだ!京都にいた時に見たあのCMが懐かしくてさ。」

大野さんは耳まで真っ赤にして、ぶんぶんと手を振った。

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