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桜並木を見おろして【ARS・O】

第7章 桜月夜

そのCMというのは、お座敷で舞妓が二人でエイセイボーロを食べているというもので。

その決め台詞が

“西村のエイセイボーロ、うち大好きどすねん。”

というものだ。

おそらく、京都か関西のローカルだ。

舞妓の子供ということで、あのCMでよくからかわれた。

あだ名が一時“西村”になったくらいで、いい思い出はなかった。

私がしばらく黙っていると、大野さんがジーっとこちらを見ていた。

“嫌ならいい”と言いながら、期待した目で私を見つめていた。

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