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桜並木を見おろして【ARS・O】

第7章 桜月夜

大野さんとレジで会計をしていた時だった。

「小春ちゃん、小春ちゃんやないか?」

驚いて振り返ると、バックヤードからコンビニの制服を来た初老の男性が出てきた。

「小春ちゃん、京都に帰って来たんか。お母ちゃんえらい心配してたで。」

初老の男性は、この場所にあった酒屋の店主だ。

酒屋はコンビニに変わっていたけど、経営者は酒屋の店主のままだったようだ。

油断した。

個人経営の店がコンビニにくら替えするのはよく聞く話だ。

私は、きびすを返して走り出した。

コンビニを出て、やみくもに走った。

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