テキストサイズ

桜並木を見おろして【ARS・O】

第1章 個展

中年の男女が出ていってすぐ、高校生くらいのグループが入って来た。

「おーちゃん先生、見に来たよ!」

「すげーじゃん、個展なんて先生まるで画家みたい!」

「おーちゃんは、実は画家もやってんのよね。」

「先生、実は絵描くの上手いのね。」


高校生くらいの4人グループは、口々に騒ぎだした。

「うるせー、お前ら。騒ぐなら帰れ。」

大野さんが口を尖らせて言った。

でも、高校生たちはどこ吹く風でまったく騒ぐのをやめない。

「おーちゃん先生、ネクタイなんてして、おかしい~!」

「いつもはテロンテロンのトレーナーなのにね。」

「そのネクタイも“母ちゃん”に買ってもらったの?」

「服はいつも“母ちゃん”に買ってもらうんだよね。」

高校生たちは、声を揃えて大笑いした。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ