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桜並木を見おろして【ARS・O】

第8章 桜並木を見おろして

予約したタクシーがタケシさんの家に到着すると、大野さんと私は乗り込んだ。

窓を開けてタケシさんとアッコさんに手を振った。

「運転手さん、三条通を西に走ってください。嵐山に向いて。」

運転手さんは返事をして発車した。

「嵐山?」

私は大野さんに聞いた。

私は、タケシさんの家からは直接京都駅に向かうと思っていた。

「ん…、せっかくだからちょっと寄り道していこうよ。」

大野さんは、笑って言った。

タクシーは、混雑の街を西へ走った。

春の桜と秋の紅葉のシーズンは、京都は観光客であふれかえる。

祇園の辺りで、舞妓に扮装している観光客の女性を見た。

舞妓の着物と化粧を施してくれる店が数軒できているようだ。

ムラだらけのおしろいと薄っぺらい着物。

違う。

そう思わずにはいられなかった。

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