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桜並木を見おろして【ARS・O】

第9章 小春食堂

そのあとすぐ、相葉くんと潤くんが相次いで店を出た。

それぞれ出勤とレッスンの時間なのだ。

二宮さんは食事の途中で携帯電話が鳴り、あわてて店の外へ出て何か話してた。

「料理残してごめんなさいね。会社でトラブル発生ですわ。」

そう言って、あわただしくお勘定を済ませるとバタバタと店を出ていった。

「にぎやかな店だね。」

大野さんがポツリと言った。

「ん…、そやね。」

「店、楽しそうだね。」

大野さんは、ふんわりと笑った。

「そやね。」

私も笑った。

「あの男前、かなり小春さんにお熱みたいだけど。」

「シスコンの弟みたいなもんや。潤くん、ああ見えて苦労してて、甘えられる人が他にいなくて。」

私は、料理をのせたお盆を大野さんの前に差し出した。

「ふうん、でもまんざらでもないんじゃない?」

「大野さん!」

私は、ちょっと乱暴にお盆をテーブルに置いた。

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