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先生…お願い。早く治して・・・

第18章 初めての治療(前編)

トントン…



二人は院長である石川専用の診察室へと入った。

綾は宮田の腕をぎゅっと握ったまま、重い足取りで現れた。

“さっ、お嬢様”

宮田は自分の後ろに隠れていた綾を一歩前へと押し出した。


昨日は診察室とは感じられないスタイリッシュな空間だったが、今日は既に診察台の横には大きな機械がセットされ、処置用のワゴンの上には数本の注射器もある。これから行われる治療への恐怖心を一層掻き立てる。
綾は一瞬にしてその診察台に目を奪われ、身体が固まってしまった。

そんな綾に石川は近づき、そっと頭に手を置く

「大丈夫。心配いらないよ。早くやって、とっとと終わらせちゃおう。我慢出来ないような痛いことはしないから。ねっ」

っと、ニコっと微笑んだ。

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