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先生…お願い。早く治して・・・

第96章 治療を乗り越えた後には…



みんな、みんな嘘つき…


良くなるって言うから、あんなに痛い注射…

頑張ったのに…っ…んっ…んっ…


全部嘘じゃん…




気が付けば、色んな感情が入り乱れ
ぽろぽろと涙が溢れ落ちた




私はなんの為に、あんな痛い思いしたの?

どうせ治療が必要なら、やらなくたって良かったじゃん…



ヒック…


1人ベットの上で、先生達への不満や怒りが入り乱れ、溢れる涙を隠すように布団で顔を隠した…




隠れて泣いたお陰か、休憩室にいる先生達には誰にも気付かれる事はなかった


それから30分ちょっとが過ぎ、看護師の伊藤さんとバトンタッチした後藤さんが、見回りに来た





布団の中で声を押し殺し、肩を揺らし泣く綾に気付き後藤は声を掛けた




後藤「進堂さん、大丈夫?」




自分の世界に入り込み、まるで悲劇のヒロインになったかのように泣いていた綾は声を掛けられるまで、人がいる事に気がつかなかった。



綾『ンッ…だいじょうぶ…です。』


泣いている事がバレない様に咄嗟に平然を装った





後藤「本当に?何処か痛い所ない?」



心配そうに声を掛けてくれたが、これ以上喋ればバレてしまいそうで、布団を被ったままブルブルッと顔を横に振った





後藤「……、、そ、そう?…じゃぁ〜何かあったらいつでもボタン押して呼んでね!」



綾『うん…。』

布団の中から一言だけ返した



明らかに様子はおかしかったが、それ以上問い詰められる事を拒んでいる様に感じ、ICUを後にした




綾の様子が気になった後藤は隣のナースステーションに戻ると、院長である石川に内線を入れた







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