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先生…お願い。早く治して・・・

第5章 診察

診察室の外で待っていた宮田も中に呼ばれた。

「先生…。」

心配する宮田に司馬は、
“ 大丈夫だ。少し喘息の兆候で呼吸が乱れてるが、薬飲んで寝てれば治る!
とりあえず、気管を広げる薬だけ注射しておこう"


『えっ?!注射?』慌てる綾


“ そうだ。呼吸が楽になる "


『注射は嫌っ』


“子供じゃない…んだろ?” とニヤっと笑う司馬


『そうだけど…、注射は嫌なのぉ〜』


“ 直ぐ終わる。腕、出して!!それとも、お尻にするか?”


それは絶対嫌だと首を振る。


涙目になる綾。
『宮田、ヤダよ〜』そう言って宮田に抱きつく。まるで小さい女の子のように。

宮田もそれを受け入れるように両手を回し、しっかり抱きかかえ、
「大丈夫。直ぐ終わりますから、そのままじっとして」と優しく語りかける。


『ぅん…。』 と胸の中で小さく頷く。

“ じゃ、やるぞ”

そういって抱きついている腕に消毒をする


怖さで腕がビクっと動いた。



“ 直ぐ終わる、ちょっとチクっとするぞ ”


そう言って注射の針を刺す。


『ん"〜っ…っ』
宮田に抱きつく綾の腕に力が入る。


「良い子だ。もうちょっとの我慢ですよ」そう言って、
宮田も強く抱き締める。


“ よし、もういいぞ、終わりだ !!"


しかし、緊張のあまり抱きついた腕を離そうとしない。


「お嬢様……、お嬢様!大丈夫、終わりましたよ。良く我慢しましたね。もう腕を離しても大丈夫ですよ」
と優しく諭す。


回した腕を離した綾の目は、まだ涙目だった。
宮田は涙で濡れた頰にそっと手を添え、親指で涙を拭うと

「 良く我慢しましたね。。お嬢様、帰りましょ」と微笑んだ。


私は『うん』っと小さく頷いた。


「先生ありがとうございました」


そう言って、宮田に支えられ病院を後にした。



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