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「大丈夫かい？


頭は打ってない？」



とても優しい口調で彼は話す。


私は小さく頷き
『たぶん…。』と答えた。


するとその白衣を着た男性は携帯を取り出し、何処かに電話をかけ始めた。

先ほどとは違い、テキパキとした口調で

「俺だ、石川だ。直ぐにロータリーにストレッチャーを持って来てくれ！大至急だ」


そう言い終わると、

「ごめんね。もう少しこのまま待ってね。頭を打ってる可能性もあるから。念のため……ねっ。」



『……。はぃ。。』


こんな優しい先生っているんだ…、それにカッコいい〜こんな状況なのにそんな事を思う自分がいた



「何処か痛いところは無いかい？」


そう言われて、体の下になっていた左腕を少し動かそうとした途端、

今までに感じた事のない激痛が襲う…

悲鳴にも似たその声に

「どうした？何処が痛い？」

『…っうっ…いやぁ〜、いやぁ〜助けて…』

泣き叫ぶ綾。

『腕が… 腕… っ… 』

「ちょっとごめん…」
そう言うと左腕をそっと持ち上げた。

『いやぁーーーっ、ヤダ。。痛いよぉ〜いやぁ〜』

左腕を持ち上げた手には赤い血が………。
工事用の太い杭が二の腕に刺さっていたのである。

宮田の真っ黒のジャケットを羽織っていたため出血していた事に気がつかなかったのである。