
先生…お願い。早く治して・・・
第40章 先生…苦しいよ…
しかし、体力のない綾に吸引する事は簡単だ
いつものように抵抗するも、力もなく簡単に抑制出来てしまう。一生懸命、口を噤ぐも上手く呼吸出来ない綾はすぐに口を開けてしまった。
石川 :「綾、ごめんな、ちょっと我慢な〜」
石川は綾が口を開けた隙に、口を閉じないよう手で口を広げる
綾『あ"ぁ…や"ぁ』
何するの??こわいッ、怖い…
抵抗することも出来ず、大粒の涙だけが止めどなく流れる
石川「チューブちょうだい?」
先生は淡々と進めていく
森下「はい」
石川にチューブを手渡す
石川「はい、もらった〜。よし、じゃぁ森下、抑えてくれる〜?」
綾『ゲホッゲホッ…い"ぁ"ッ…』
口を閉じない様に先生は指で歯を押さえている為、閉じる事は出来ない…
怖いっ怖いっ怖いよ…
ヤダやめて!!!
大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちる
石川「綾?大丈夫だよ〜すぐ終わるから、泣かない泣かない。泣くと余計苦しくなるからなぁ〜」
やられた事のない治療は恐怖でしかない…
嗚咽混じりで、どんなに大声で泣かれても
やるべき事は、早く終わらせてあげる事
それしかない…
石川「よし、じゃぁごめんな、お口にチューブ入れるよ〜。。ちょっと苦しいけど頑張るよ〜」
チューブを喉の奥へと挿入する…
咽頭反射で“オエッ…オエッ”と、苦しさのあまり涙が溢れる
石川「ごめん苦しいね………、、ごめんな〜…」
喉の奥に溜まった粘着質の痰は、ジュジュッズズッと音を立てて吸引されていく。
綾 :『…あ"っ……っ…ん……ック』
苦しくて涙が止まらない……
綾は苦しさのあまり、それから逃れようと頭を動かそうと必死でもがいたが、森下がそれを必死でホールドしている為、敵わない…
石川 :「苦しいね…一回抜くからね〜」
綾 :『オエッ…ゲホンッ…ゲホンッ…ぅう"っ…はぁはぁ〜』
石川「よ〜し、綾、偉いぞ。」
石川は聴診器で痰の溜まっている辺りを確認する
綾『はぁ〜っ…はぁ〜っ…はぁ〜っ…ヒック…』
石川 :「綾…最後だからね。もう一回だけ頑張ろうな」
綾 :『やだぁ…ゲホンっ…ゲホンっ…も、もうやらないぃ〜』
必死で頼んだものの、やはり先生には通用しなかった
