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先生…お願い。早く治して・・・

第55章 平気なわけがないだろ!でも俺は医者だから…



「 綾……、何の為に今日頑張ったの?あんなに痛い思いまでして…。今やらなかったら、折角頑張った今日の治療、水の泡だよ。いいの?」



治療時のあの悲鳴にも似た、泣き叫ぶ程の痛みだ。治療嫌いの綾が嫌がるのは正直当然だ



『……だって…。うえっ…ック』



嗚咽で声にならない


「あんなに痛いんだから、先生だって綾が嫌がるのも分からないではないよ。でも今やらないと、いつまでも治らないし、痛いままだよ。」




『…だっ…て〜…っく』


涙で上手く喋れない


「だって何?」




『……こわいよ…』



「うん。怖いよな。あんなに痛いんだ、怖くて当然だ。でも大丈夫、先生いるし、すぐ終わるから。だから行こ」





優しく何度も諭すが、痛みという恐怖が綾の心を完全に支配していた





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