
先生…お願い。早く治して・・・
第72章 石川先生は不在
『 石川先生が帰って来るまで待ってる!』
宮田に掴まれた腕を振り払いながら言い放った
“お嬢様…。”
『だって…ぇ〜…やりたくないぃ〜…ううぅっ…うッ…っ…』
今まで我慢してた感情が一気に噴き出した
高梨は肩を震わせる綾の前にしゃがみ込み、そっと両肩に手を置いた
「アヤ……まずは検査だけでもしよっ。。
大したことなかったら、石川先生が来たら治療して貰えばいい。それに石川先生と約束したんでしょ?このまま検査もしなかったら石川先生怒るぞ。」
『石川先生…優しいもんッ…ん…んんっ…怒ったり…ッ…なんかしないもん!』
「確かに院長は優しいよ。でもね、目の前の置かれた状況から逃げる事が誰よりも大嫌いなの。だからもし、このまま逃げてしまったら、院長は凄く怒ると思うよ。いいの?」
『嘘!!!そうやって、私の事脅してるんでしょ!先生がそんな事で怒るはずない!!』
「本当だよ!!記憶をなくす前のお前は、何度院長に怒られて泣いてたか…」
高梨先生は苦笑いを浮かべた
