
先生…お願い。早く治して・・・
第72章 石川先生は不在
『だって…、本当に先生いっつも凄く優しいもん。石川先生は怒ったりしない‼︎』
「それは今、君が記憶を無くしてるからだよ。目を覚ましたら治療の必要な身体になっていて、検査も治療も今の君に取っては全てが初めての事だから少しでも恐怖心を感じさせない様に院長も努力してるんだ」
『………。』
「だから、行こう?すぐ終わるから。」
そう言って綾の腕を掴んだ
『やだ!行かない!絶対行かない!やらない〜』
高梨の腕をふりはらった
「……。」
『やらないっ!!患者がやりたくないって言ってるの〜!!!無理にやったら…私、訴えるからっ!』
綾は高梨を睨んだ
「…はぁ〜〜、ったく…。」
完全呆れたため息を吐いた
『…んっ…っ…んんっ…。』
「あや、、先生治療はしないって約束するから、治療は院長が来たらやってもらいなさい!だから、怖いのも嫌なのも分かるけど、検査だけはしよう?」
高梨は強く言いたい気持ちを抑えつつ優しく問いかけた
しかし泣きじゃくる綾には高梨のその優しさすらも届かず、綾は嫌だと首を横に振った
