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第5章 真昼の怪異

「そう言うわけだから、バイトが終わったら鈴木ん家行ってくるわ」

「えー?何でアキちゃんが行かなきゃなんないの?行く必要ないじゃん?危ないよ。その人絶対おかしいって!」

「大丈夫だよ。恋奈は心配性だなぁ」

「好きな人の心配するのは当たり前じゃん!」

「恋奈っ愛してるっ!」

「アキちゃんっ私も!」

俺達はバカップルである。

別に構わない。

他人から白い目で見られようとも。

俺は恋奈を愛してるっ!

放っておいてくれっ!!


「いいな…お前は幸せそうで…」

「ああ!幸せだ!悪いか?日頃の行いが良いお陰だっ!」

俺は鈴木に胸を張ってみせた。

「へっ!下らねぇ…」

鈴木は俺を鼻で笑ったが、何とでも言えばいい。

今のカサカサのお前には何を言われても腹は立たないからな。

俺達は仕事を終えると、その足で鈴木の家に向かった。

新築のマンションに一人暮らし。

鈴木は結構ボンボンだ。

何でコンビニのバイトをしているのかが、よう分からん。

俺は鈴木の部屋を訪れるのは久しぶりだったが、その変わり様の驚いた。

部屋の隅には盛り塩。

壁には色んなところの御札が貼られている。

なんじゃこりゃ?

鈴木からペットボトルを差し出されたので開けて飲んで見たら、なんじゃこりゃー!!

日本酒ではないかっ!

「今、飲むなよな。もし、何かが出たら直ぐに口に含め」

「何かって何だよ?」

「俺も分かんねー。俺の睡眠を邪魔する奴等だ」

「俺、霊感とかねぇし」

「だったら見ないかもな」

「帰らせて頂きます…」

「頼むっ!帰らないでくれっ!」

鈴木が俺の腰にタックルを仕掛けてくる。

「おわっ!あぶねぇだろ!コケるところだっ!」

「悪い…なぁ、頼むから帰らないでくれ…」

「わぁかったよぉ!お前がちゃんと寝るの見てやるから、寝ろ?その代わり暇だからテレビ見させて貰うぞ?」

「ああ、好きにしてくれ」

「おう!お休み」

「お休み…」

鈴木はそう言うと目を閉じた。

暫くすると規則的な寝息が聞こえてくる。

しかし何だ。

一体どうしたって言うんだろう?

その疑問は偶然にも直ぐに解決された。

「えっ!?」

テレビの画面には見覚えのある顔が映し出されていた。

ええと、確か…。

「人妻だっ!」

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