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第15章 告白

所長は暗闇に向かって何かを唱えると、指先で空を切る。

そして、その場の空気を全て吸い込むかの様に、ゆっくりと深く息を吸い込んだ。

獣の唸り声の様な音が頭の中に響く。吐き気がする程、気持ちが悪い声だ。頭が割れる様に痛い。

その声は断末魔の叫びを一際大きく上げる。所長はまだ何かを吸い込んでいる。

しかし、最後に蕎麦を吸い込むかの様に、所長は吸引する力を強めると、唸り声はぷっつりと途絶えた。

その瞬間、真っ暗だった部屋の灯りが、パッと灯ったのだった。

所長が来てくれた事。灯りが点いた事。変な声が聞こえなくなった事。

その全てに安堵し、俺はその場に崩れ落ちる様にして座り込む。

ふと恋奈に目を向ければ、穏やかな顔をして寝息を立てていた。

(ああ、良かった……。でも、"アレ"は何だったんだ?)

そう思いながら、はたと気付く。

俺と恋奈は全裸だったーーーーー!!

「あわわわわわわっ!!」

俺は慌ててパンツを穿き、恋奈の身体を布団で隠す。

その間、所長とハナさんは平然とした顔で部屋の中に上がり込み、周りをキョロキョロと見回していた。

そこら辺にある物を引っ繰り返して物色している。

頼むから、変なところを開けないでくれよ。

(あ、ゴミ箱のティッシュ! 始末してねぇ!!)

そう思って振り向いた時には遅かった。ゴミ箱を覗いた二人は、「あーでもない。こーでもない」とコソコソと話をしている。

一応、人並みに羞恥心のある俺は、恥ずかしさに顔から火が出そうだった。

「いやぁ、若いねぇ?」と言ってニタニタ笑う所長と、「キモっ!」と言って眉間に皺を寄せるハナさん。

そりゃあないよ。勝手に見たのはそっちじゃないか!

そう思うけど、拳骨は貰いたくないので、口には出さなかった。

「ところで、彼女はどんな様子だ? 呼吸を聞く限りでは、大丈夫そうだけど」

「ええ。顔もいつもの可愛い恋奈の顔に戻りました!」

「そうか。塩が効いたのか……それとも……」

「所長? さっきのは一体、何だったんですか!? あれは恋奈の一部じゃないですよね!?」

俺が身を乗り出して、キスをしてしまいそうな距離まで詰め寄って尋ねる。

所長は俺の勢いに押されたのか、後ずさりながら「落ち着け」と言って手で俺を制した。

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