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『○月△日午前10時頃、○×県の山林で、行方の分からなくなっていた東京都世田谷区の吉成千鶴さんと思われる白骨化した女性の遺体が発見されました。吉成さんは────』

嘘だろ！？

これは何かの偶然なのか？

『なお、警察の調べでは遺体の状況から見て死後３週間から１ヶ月半程が経過しているとの事で、吉成さんは何らかの事件に巻き込まれたと見て捜査しております』



３週間から１か月半くらい…？



ひょっとして…？



色んな憶測が頭の中を飛び交う。

いや、偶然だよな？

でも、あのゲームはリアルの世界だ。

でもでも、死体は作り物だって恋奈は言ってた。

そうだよ、これは偶然なんだ。

でも、恋奈は鈴木の部屋に行くのを最後まで思いとどまらせようとしていた。

何かを知っているのか？

それとも単に俺が鈴木と危ないＢＬの世界に足を踏み入れるんじゃないかと心配しただけなのか？

俺が頭をフル回転させて考えていると、いきなり強い力にギュッと腕を掴まれて、俺の心臓は口から飛び出るのではないかと、思うくらいに跳ねた。



ヤバイ。コワイ。ヤバイ。



あっ！ペットの酒だ！



そう思い出し、手を伸ばそうとしたところ、また腕を掴まれた！




ヒイィィィィ!!!





「今のニュース…あれって…」

鈴木か…。

ビビっただろーが！


俺の腕を掴む鈴木の顔は真っ青で、全身がブルブルと震えている。

それはそうだろう。

自分がゲームの中でとは言え、放置して死んでしまった女にそっくりな女、しかも同姓同名、年齢迄一緒の女が遺体で発見されたと報じられたのだ。

偶然とは言え怖過ぎる。

いや、偶然の一致なのか？

「おい、鈴木！パソコン借りるぞ！？」

俺はリビングの端に置いてある机の上のデスクトップパソコンの電源を入れた。

警視庁の行方不明公開ページを検索する。

「おい、鈴木！」

俺が怒鳴るように名前を呼ぶと、鈴木は身体をビクッと震わせる。

「ちょっとこっちに来い！お前、あのゲームで何人放置した？」

奴が遊び初めてからまだ、２ヶ月チョイだ。

「３人…」

「おい！この中にその人は居るか？」

「いやだ！見たくないっ！」

それはそうだろう。

自分がゲームの中で放置して殺したかも知れない人物が現実の世界に存在して、行方不明になっているとしたら…。