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第8章 新しいバイト

「ん~…。ねぇ、ハナ。どう思う?」

「面白そうじゃん?」

‟ハナ”と呼ばれた、でかいネェちゃんが、俺の前にコーヒーを置いてから、やはり事務机の椅子をガラガラと引っ張って来て俺の前に座る。

「あの…あんまりお金がないんですけど…」

俺がそう言うと、でかいネェちゃんが

「ああ、そんな感じだよね~」

と返す。

何だよ、失礼だな!

本当の事だけど。

「お金がないなら、ウチでバイトする?」

「えっ!?」

「丁度、人手が欲しかったんだよねぇ~」

「そんな旨い話があるんですか?」

「でも、ウチの仕事キツイよ?それでも良ければだけど?」

「やります!それで依頼を受けて頂けるのであれば、やります!」

俺は思わず立ち上がってそう答えた。

「キミってお人よしだねぇ~?」

「何でですか?」

「だって、キミが困ってるワケじゃないんでしょう?友達なんか放っておけばいいじゃん?」

「そんなワケに行きませんよ!俺が教えなかったら、ヤツはそんな目に合わなかったかもしれないのに…」

「遅かれ早かれ、そういうのに興味あるヤツだったら、そこに行き着いてたと思うけど?」

確かに。

言われてみればそうかも。

「でも、彼女が危険な目にあっていたかもしれないんです!こんな危ないモノを放っておけません!」

「お~お~。威勢がいいね。んじゃさ、早速明日から来てよ?」

「えっ!?それはチョット…。コンビニのバイトが…」

「何時に終わんの?」

「えっ?」

「バイト。終了時間は?」

「6時ですけど…」

「じゃあ、それが終わってからでいいや。何時に来れる?」

「ええ~!?明日はデートが…」

「金ねぇくせに、いっぱしにデートかよ…」

ボソッとでかいネェちゃんが零した。

さっきから、何なんだこの女。

「あー…ハナが口が悪いのは誰にでもだから、気にしないで?んで、デートは解決してから、いつでも出来るでしょ?」

「はぁ…」

「そういうワケだから、明日からよろしく!」

そう言うとちっさいイケメンは俺に名刺を差し出した。

宝井探偵事務所

所長 宝井 悠(タカライ ハル)

名刺にはそう書いてあった。

「あ~!じゃあ、アタシも~」

そう言って、でかいネェちゃんが差し出した名刺にはこう書いてあった。

宝井探偵事務所

助手 宝井 華(タカライ ハナ)

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