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第10章 所長のお祓い

俺は鈴木に所長の事を話し、ヤツの次の休みの日に所長の所へ一緒に行こうと誘ってみた。

鈴木は、藁にも縋る思いだったのだろう。

躊躇う事も疑う事もせずに頷いた。

そこで、俺がコンビニのバイトを上がった後、落ち合う事にした。

当日、鈴木を伴って事務所を訪れるとハナさんが迎え入れてくれる。

ハナさんはスッゲェ美人だけど、毒舌だし、背が高くて迫力あり過ぎで怖い。

そんなハナさんを鈴木はポカ~ンとした顔で見てる。

「何?あたしの顔に何か付いてる?」

ハナさんがギロリと鈴木を睨む。

「あ…いえ…。凄い綺麗な人だなって」

鈴木がそう言うと、ハナさんは面白くなさそうに『ああ、そう』とだけ返して奥へと消えていく。

俺達は彼女の後に続き、事務所の中へと入って行った。

奥では所長がソファの上で相変わらずクロスワードを解いている。

鈴木は所長の美貌にもポカンと口を開けた。

「所長~?連れてきましたよ」

俺は所長の前に立つと鈴木を紹介した。

「話は聞いてる。見るんだって?」

所長は立ち上がると、ソファを俺達に譲り、事務机の椅子をガラガラと引っ張って来て俺達の前に座る。

ハナさんはお茶を淹れてくれているようだ。

「よく…分からないんです。心療内科に通って薬を貰って飲んでも、お札を貰って貼っても…何も変わらない…」

鈴木がポツリポツリと話し始める。

「罪悪感がないなら、病院行っても変わらないでしょ。ハッキリ言うけど、『憑いてる』だけから」

「じゃあ、お祓いは…?」

「ちゃんと調べて行ったのか?神社や寺も、そう言うのに得手不得手があるんだ。お札だってそう。闇雲に貼っても神様同士が喧嘩するから意味ないよ?」

「じゃあ、どうすれば…」

「だからハルが祓ってやるって言ってんじゃん」

ハナさんが盆に載せたお茶をテーブルの上にガチャンと音を立てて置く。

美人なのに雑なんだよなぁ。

この人。

「ハナ、食器が壊れるからもっと静かに置いて?」

所長が見兼ねて釘を差す。

ハナさんは『ふわぁ~い』と返事をすると、所長と同じ様に事務机の椅子を引っ張って来て、俺達の前に座った。

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