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第10章 所長のお祓い

「あの、因みに鈴木に憑りついているのって…?」

「女。しかも3人」

所長の返答に俺はゴクリと喉を鳴らした。

鈴木が放置したのは3人だと言っていたからだ。

「システムが分からないから何とも言えないけどさ。多分、鈴木君みたいな人、かなり居るんじゃないかな」

所長はお茶を啜りながら、そう言った。

「そうだ!恋奈のっ…ああ、俺の彼女の学校の子が、一人死んでるんです。因果関係は分からないけど、そいつ、そのアプリで遊んでたって…」

俺は、恋奈から聞いた話を所長に報告する。

「死因は?」

「心臓発作だそうです。恐怖に引き攣った顔をしてたって…」

「ふーん?まぁ、憑り殺された可能性は否定出来ないね」

「俺も…そうなるんですか?」

「何れはね。だからその前に祓う。代金はキミの友達のそこの彼がバイトして払ってくれるってさ」

「えっ!?」

鈴木が驚いた顔で俺を見る。

「お前…、馬鹿じゃねぇの?」

そう言うと鈴木は俺から視線を外した。

「本当に馬鹿だよね。この人。お人よしにも程があるでしょ!」

ハナさん。

相変わらずキツイですね。

「だから霊に好かれるんだよね、彼」

「へっ!?で、でも憑いてないって…」

「うん。悪いのはね。でも、キミに餌を貰ったノラ猫とか、色んなのが憑いてるよ。居心地が良いんだろうね、キミの傍」

「ふえぇ!?勘弁して下さいよぉ…」

半泣きになる俺。

見えないとは言え、何かが憑いているってぇのは有難くはない。

「悪いモンでもないし、動物の霊達はキミに恩返しがしたいみたいだよ?良かったじゃん。守られてんだよ?感謝しないとね」

「はぁ…」

「ところで鈴木君。キミに憑いている人達を祓う前に彼女達に話を聞きたいんだけど、いいかな?」

「どうぞ…」

「キミの身体を借りるけど、いい?」

「え…」

「嫌?」

「そりゃあ嫌でしょう…」

「そっかぁ…。という事でハナ出番だよ?」

「ええ~!?あれ、疲れるから嫌なんだけど…」

所長に指名されたハナさんがぶつくさと文句を垂れた。

「文句を言わない!それに俺もハナに憑いてくれた方が祓い易いしさ。ね?」

所長がハナさんに上目遣いで『お願い』と掌を合わせる。

何だ、この人。

男のくせにめっちゃ可愛いんだけど。

所長は小柄だし、女性と見間違えるくらい綺麗な顔立ちをしている。

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