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第12章 対峙
「恋奈!どういう事だよっ!俺の…
俺の事はどうだっていいのかっ!?」
俺は隣に座る恋奈に詰め寄った。
恋奈は静かに『ごめんなさい』と一言だけ言って俯く。
「その『ごめん』はどう言う意味なんだよ!」
「アキ、落ち着け」
所長の静かな声が、俺を宥める。
「彼女だって辛い筈だ。初めの目的はキミの周りに浮遊する霊をお姉さんに与える事だったかも知れない。けど、今は違うよね?」
所長の言葉に恋奈が小さく頷く。
「だったら、コイツを悲しませる様な事はしないでくれるかな?
お姉さんの無念は俺達で晴らす。
キミはお姉さんやお母さんの分まで幸せになるべきだ」
静かに諭すような所長の声。
恋奈は静かに涙を流しながら、それを聞いていた。
そして所長は、恋奈の中に居ると思われる彼女のお姉さんに語り掛ける。
「麗美さん。聞こえてるよね?
キミの無念は必ず、俺達で果たすから…。
だから妹さんを解放してやって欲しいんだ。
6年間もキミの為に、働いて来たんだろう?
まだ、キミに良心が残っているのなら…。
妹さんの幸せを願ってあげられる心を持っているのなら…。
彼女を解放してあげて欲しい」
所長の言葉に、恋奈の身体が激しく震えた。
男とも女とも言えない様な低い嗚咽。
ひょっとしたら、恋奈の中に居るお姉さんが表面に現れてるのか?
「全てが終わるまで、ハナの中で休むといい」
そう言うと所長は、恋奈の手を掴みすぅっと自分の方へ引き寄せる仕草をして見せた。
すると恋奈の震えが止まり、彼女はガクンとテーブルに突っ伏した。
俺は思わず恋奈を抱き起こす。
気を失っているのか、恋奈は糸の切れたマリオネットみたいに、身体が弛緩していた。
「気を失っているだけだよ」
所長はそう言うと立ち上がる。
『俺とハナは先に事務所に戻ってるから、彼女が起きたら事務所に来て』と言葉を残し、所長とハナさんは喫茶店を出て行った。
俺は暫く、恋奈を抱きかかえながら、たった今、見聞きした事を頭の中で繰り返し思い出していた。
何かとんでもない事件が事の発端だったんだな。
でも、あのアプリとの関係は?
まだまだ謎な部分が多い。
これって唯の麗美さんの復讐劇なのかな?
俺はまだ知らない闇が広がっている事が怖くて、恋奈を抱き締めながら震えた。
俺の事はどうだっていいのかっ!?」
俺は隣に座る恋奈に詰め寄った。
恋奈は静かに『ごめんなさい』と一言だけ言って俯く。
「その『ごめん』はどう言う意味なんだよ!」
「アキ、落ち着け」
所長の静かな声が、俺を宥める。
「彼女だって辛い筈だ。初めの目的はキミの周りに浮遊する霊をお姉さんに与える事だったかも知れない。けど、今は違うよね?」
所長の言葉に恋奈が小さく頷く。
「だったら、コイツを悲しませる様な事はしないでくれるかな?
お姉さんの無念は俺達で晴らす。
キミはお姉さんやお母さんの分まで幸せになるべきだ」
静かに諭すような所長の声。
恋奈は静かに涙を流しながら、それを聞いていた。
そして所長は、恋奈の中に居ると思われる彼女のお姉さんに語り掛ける。
「麗美さん。聞こえてるよね?
キミの無念は必ず、俺達で果たすから…。
だから妹さんを解放してやって欲しいんだ。
6年間もキミの為に、働いて来たんだろう?
まだ、キミに良心が残っているのなら…。
妹さんの幸せを願ってあげられる心を持っているのなら…。
彼女を解放してあげて欲しい」
所長の言葉に、恋奈の身体が激しく震えた。
男とも女とも言えない様な低い嗚咽。
ひょっとしたら、恋奈の中に居るお姉さんが表面に現れてるのか?
「全てが終わるまで、ハナの中で休むといい」
そう言うと所長は、恋奈の手を掴みすぅっと自分の方へ引き寄せる仕草をして見せた。
すると恋奈の震えが止まり、彼女はガクンとテーブルに突っ伏した。
俺は思わず恋奈を抱き起こす。
気を失っているのか、恋奈は糸の切れたマリオネットみたいに、身体が弛緩していた。
「気を失っているだけだよ」
所長はそう言うと立ち上がる。
『俺とハナは先に事務所に戻ってるから、彼女が起きたら事務所に来て』と言葉を残し、所長とハナさんは喫茶店を出て行った。
俺は暫く、恋奈を抱きかかえながら、たった今、見聞きした事を頭の中で繰り返し思い出していた。
何かとんでもない事件が事の発端だったんだな。
でも、あのアプリとの関係は?
まだまだ謎な部分が多い。
これって唯の麗美さんの復讐劇なのかな?
俺はまだ知らない闇が広がっている事が怖くて、恋奈を抱き締めながら震えた。