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第12章 対峙

「しかも殺せたのは、主犯格のヤツじゃない。明石さん。キミのお姉さんの力じゃ、到底無理だ」

「じゃあ、どうすればいいんですかっ!?」

「俺に任せてくれないかな?」

「貴方に何が出来るって言うんですか?」

そう言って恋奈が所長を睨んだ。

「分からない?俺はキミのお姉さんを消滅させられる程の力があるんだよ?」

「つまり…?」

「ハルはそいつ等を呪い殺せる程の力があるって事!」

ずっと大人しかったハナさんが突然口を開いた。

「ええっ!!そんな恐ろしい力が所長に…!?」

「まぁ、正確に言うとハル本人ではなく、ハルが飼ってる悪霊が…だけどね」

「そ…そんな恐ろしい者が所長に憑いてるって事ですか?」

「憑いてるんじゃないよ。従わせてるだけ。ハルはかなりヤバい悪霊すらも消滅させる力を持ってる」

「まぁ、消滅させられたくなければ、従うしかないよね」

そう言って二人はそんな事は大した事ではないとでも言うように、同じような涼しい顔をして、同じようにカップを持ち、同じようにコーヒーを飲んだ。

ってかシンクロしてるよ。

「明石さんの死んだ同級生って、お姉さん関連のヤツでしょ?」

「えっ!?」

所長の言葉に、俺は思わず恋奈を見る。

そして恋奈は微笑みながら『ええ』と頷いた。

その笑みに俺の背中がゾクッと震える。

これは誰なんだ?

俺の知っている恋奈なのか?

「でも、分かったでしょ?一人殺るのがどれだけ大変か。元々、お姉さんは霊力が高い訳じゃない。それまでにかなりの数の魂を喰らっている筈…」

「確かに…。姉の消耗は大変なものでした…」

「あと2~3人喰らったら、キミのお姉さんは、本物の悪霊になるだろう。キミ…本当にそれでいいの?アキが悲しむと思わない?」

「何の事です?」

「彼女…自分の魂をお姉さんに喰わせるつもりだ」

















え?


どういう…こと?














俺の頭の中は真っ白になった。

それって、恋奈が死ぬって事?

俺を置いて居なくなるって事?





ちょっと待てよ!


俺はそんなの嫌だ!!








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