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第14章 捜索
「不味い事ってなんなんですか?」
胸騒ぎを覚えつつも、俺は所長に尋ねる。
所長は眉間に皺を寄せて恋奈をじっと見つめながらこう言ったのだ。
「恋奈さん自体が怨霊化し始めているかも…」
え?
だって恋奈は生きてるじゃん!?
それなのにどうやって………?
「多分、恋奈さんは元々そっちの力が有ったのかも知れないな。お姉さんが直ぐに怨霊化せず正気を保って居られたのは、恋奈さんの力のお陰だと思う」
「それが恋奈の悪霊化と何の関係があるって言うんですか!?」
「生きている人間が怨霊化しない事もないよ。
物語ではあるけれど、源氏物語の”六条の御息所”の話は知ってる?」
「読んだ事はないですけど、何となく」
「なら分かるでしょ?あんな感じだよ。
お姉さんの”恨みの心”と彼女自身の”恨み心”それが合わさって、元々力があった彼女の念が強くなっていった。
彼女の学校の生徒が死んだのは、お姉さんの力だけじゃない。
どちらかと言えば恋奈さんの力だったのかも知れない。
彼女が怨霊化するのを抑えていたのは、ひょっとしたら、お姉さんだったのかも…」
「それじゃあ…?」
「ああ…。悪い。俺のせいだよ。俺の見極めが間違っていた。
お姉さんが悪霊化してたんじゃない。恋奈さんが、そうなり掛けていたんだ…。
それに気付かずに彼女からお姉さんを引き抜いてしまった、俺の…責任だ…」
そんな…!!
でも、俺に所長を責める事なんて出来ない。
俺には何も分からないし、何も出来ないんだから。
「お姉さんを戻したら?そしたら恋奈は戻りますか?」
「それは分からない…。取り敢えず、彼女の生霊を見つけて器に戻さない事には始まらない」
そう言うと所長は立ち上がった。
「どうするんですか!?」
俺は所長を見上げて尋ねる。
一刻も早く、恋奈を連れ戻さなければ恋奈は…。
「彼女が何処に居るかは大体見当がついてる。今から連れ戻しに行って来る。
ハナ、悪いけど結界の準備を頼んでもいい?」
そう言うと所長はハナさんを見る。
ハナさんは、所長の言葉を予測していたのだろうか。
「もう道具は出して来てある。あとはこれを…」
そう言うとハナさんは、箱をパカッと開けて見せる。
「筵にぶっ挿すだけ」
「流石!ハナだね。アキ、悪いけどハナを手伝ってやってくれないか?」
胸騒ぎを覚えつつも、俺は所長に尋ねる。
所長は眉間に皺を寄せて恋奈をじっと見つめながらこう言ったのだ。
「恋奈さん自体が怨霊化し始めているかも…」
え?
だって恋奈は生きてるじゃん!?
それなのにどうやって………?
「多分、恋奈さんは元々そっちの力が有ったのかも知れないな。お姉さんが直ぐに怨霊化せず正気を保って居られたのは、恋奈さんの力のお陰だと思う」
「それが恋奈の悪霊化と何の関係があるって言うんですか!?」
「生きている人間が怨霊化しない事もないよ。
物語ではあるけれど、源氏物語の”六条の御息所”の話は知ってる?」
「読んだ事はないですけど、何となく」
「なら分かるでしょ?あんな感じだよ。
お姉さんの”恨みの心”と彼女自身の”恨み心”それが合わさって、元々力があった彼女の念が強くなっていった。
彼女の学校の生徒が死んだのは、お姉さんの力だけじゃない。
どちらかと言えば恋奈さんの力だったのかも知れない。
彼女が怨霊化するのを抑えていたのは、ひょっとしたら、お姉さんだったのかも…」
「それじゃあ…?」
「ああ…。悪い。俺のせいだよ。俺の見極めが間違っていた。
お姉さんが悪霊化してたんじゃない。恋奈さんが、そうなり掛けていたんだ…。
それに気付かずに彼女からお姉さんを引き抜いてしまった、俺の…責任だ…」
そんな…!!
でも、俺に所長を責める事なんて出来ない。
俺には何も分からないし、何も出来ないんだから。
「お姉さんを戻したら?そしたら恋奈は戻りますか?」
「それは分からない…。取り敢えず、彼女の生霊を見つけて器に戻さない事には始まらない」
そう言うと所長は立ち上がった。
「どうするんですか!?」
俺は所長を見上げて尋ねる。
一刻も早く、恋奈を連れ戻さなければ恋奈は…。
「彼女が何処に居るかは大体見当がついてる。今から連れ戻しに行って来る。
ハナ、悪いけど結界の準備を頼んでもいい?」
そう言うと所長はハナさんを見る。
ハナさんは、所長の言葉を予測していたのだろうか。
「もう道具は出して来てある。あとはこれを…」
そう言うとハナさんは、箱をパカッと開けて見せる。
「筵にぶっ挿すだけ」
「流石!ハナだね。アキ、悪いけどハナを手伝ってやってくれないか?」