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橙の傷

第4章 あの日から ※博人side

好奇の、欲望の、羨望の、嫉妬の、いろいろな目が橙乃を見る。

「どうした。」

恭介だけはにやにやと俺を見つめる。

橙乃が見えなくなるように立つ。

小さな橙乃が俺を見上げるように首を動かす。

「お弁当。忘れたでしょ?」

俺の手をつかんで、その上に弁当をのせる。

ゾクッとした欲望が俺の中を駆けた。

落ち着け。

「ありがとう」

欲望を逃がすために橙乃の頭を撫でた。

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