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君と僕の見ている風景

第18章 愛情と愛憎

監督「よーい、スタート!」


『………本間さん…もう貴方の思い通りにはさせない…』


横山『美咲を殺したくせに…その罪を償わないのか』


『違う…俺じゃない…』


横山『お前が殺したんだ…美咲を…お前が…!』


ヨコが俺の胸ぐらを掴む。


『っっ…!』


そのヨコの狂気の様な目線に一瞬ひるんでしまった。


『………神山…!』


するといきなりヨコが俺の後頭部の髪を掴んで引き寄せる。


「いつ、つ…!」


そのヨコのギラギラした目が…血走っている。


………怖い…。


演技だというのを忘れそうになる。


横山『許さない…!』


「ほ…んんっ…!!」


ヨコの唇が押し付けられる。
俺はとっさにヨコの服を掴んだ。


その瞬間…俺の視界が反転する。


「あっっ…!」


気付くとパイプベッドに押し倒されていた。


ちょっと待って…。
監督ここまでやれっつったか…?


横山『………』


「やっっ…!」


また髪を強く掴まれる。


そのヨコの顔は…アドリブとは思えない恐ろしい顔だった。


やだ怖い…。助けて…潤…!


「んぅっ…!」


またキスされると同時に舌が絡まってくる。


「んぅ…止め…ふぅっ…」


髪を掴む力に手が入り、舌が絡まる。


やだ…嫌だ!!


横山「ぐふっ!」


思いきりみぞおちに蹴りを入れると呻き声を上げながらヨコがベッドに倒れた。


「はぁっ…はぁっ…ふ…ふざけんな!!」


手で唇を拭いながら俺は怒鳴ってしまった。


横山『ふざけんな?ふざけてるのはどっちだ!!』


みぞおちを押さえながらヨコが俺を睨み付ける。


「っっ…」


監督「………はいカット!よかったよー!!」


拍手をしながら監督がセットに入って来る。


監督「横山くん…あのアドリブ凄かったな。本間の狂気がよく出てたよ。最高」


横山「ありがとうございます。ちょっとやり過ぎかなって思ったんですけど」


監督「いや、凄くいい。じゃあ映像チェックしようか」


ヨコの肩を叩き、監督が去って行く。
ヨコもその後に続いた。


………震えが止まらない。


直感で感じた。あれは…アドリブじゃない。


だってあのヨコの目は…俺と潤のキスを見ていた時のあの目と全く同じだったから…。

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