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君と僕の見ている風景

第7章 想いの交差

ー翔sideー


「ほら、潤。帰るよ?」


潤「うーん…」


ソファーで眠る潤を俺は揺さぶる。


「もーう、飲み過ぎだろ馬鹿…こっちは飲めないってのにまったく…」


優「翔くんごめんね。もう…旬も盛り上がっちゃって」


シンクで洗い物をしながら優さんが声を掛けてきた。


「優さん悪くないから。小栗くんは別だけど」


優「ふふっ」


「ふふっ」


潤の向かいのソファーで小栗くんも泥酔していた。
男でまともなのは俺と斗真だけだった。


「でも…本当にありがとう。お祝いしてくれて。俺と潤が気心知れた仲間だけなのが嬉しかった…プレゼントももらったしね」


優「斗真くんがね、『翔くん妊娠してるから負担掛けるのまずいから身内だけにしよう』って」


「そうなんだ。相変わらず気が効くな…」


優「………」


彼女が何か言いたそうな瞳で俺を見つめていたのにも気付かず、俺はどうやってこの酔っ払いを起こそうか必死に考えていた。


真央「優ちゃんこれで食器全部」


優「ありがとー」


「本当に俺手伝わなくていい?」


真央「お料理のお手伝いしてもらったから片付けは私ですよ」


「………ありがと」


真央「櫻井さん…今日はありがとう。私も呼んでくれて」


「あ、いや…」


真央「嬉しかったです…呼ばれるなんて思わなかったから」


「そんな事…」


真央「櫻井さんで良かった…」


「え?」


ぽつりと呟いた彼女に聞き返そうとすると、トイレに行っていた斗真が戻って来た。


斗真「あれ?潤まだ起きないの?」


「そうなんだよ」


斗真「しょうがないなぁ。ほら潤!帰るぞ!」


「斗真ごめんね。潤拾って来てくれた上に送ってもらって」


斗真「良いって。もうすぐ撮影だから酒控えてたしさ」


斗真は優しい。昔は潤とよく一緒に居てよく喧嘩したりして…可愛い弟って感じだったのに…いつの間にか男らしくなったな。よく気が付く頼れる後輩なのは昔から変わらないけど…。


斗真「よいしょ。じゃあ山田ご馳走様。真央ちゃんもお疲れ様。おやすみー」


優「ありがとう。お休みなさい」


真央「お休みなさい」


「本当にありがとう。お疲れ様。小栗くんにも宜しく」


俺は玄関まで見送ってくれた2人に挨拶して潤を抱えてくれる斗真の後に着いてマンションを出た。

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