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Starlight Kiss

第9章 tragic love②

ホスト「お疲れー」


「お疲れ様です」


閉店後、俺は店じまいをして先輩達と共に店を後にしようとした。


「あ、携帯…」


携帯を忘れた事に気付き、店へと戻った。


「あれ…」


携帯を掴み店を出る途中、まだフロアーの明かりが付いている事に気付き、覗き込むとカウンターで坂本店長が伝票の整理をやっていた。


「店長」


坂本「櫻井。どうした?もう皆帰ったと思ったけど」


「携帯忘れちゃって…」


坂本「そうか。お疲れ」


「………店長はまだ帰らないんですか?」


坂本「うん。ちょっと売り上げと伝票の金額合わなくてな…調べてるんだ」


暗がりの中、店内に坂本店長の電卓を弾く音が響く。


「………手伝いましょうか」


坂本「え?あ、いや大丈夫だよ。疲れてるだろ。早く帰って休めよ」


「お疲れなのは店長も同じでしょ。2人でやれば早く終わりますよ」


俺は店長の隣に腰掛け、伝票を掴んだ。


坂本「櫻井…」


「さ、やりましょ」


坂本「あ、あぁ…」





「終わったぁー」


坂本「ありがとう櫻井。助かったよ」


やっと計算が合い、伝票をまとめながら俺と店長は笑顔で伸びをした。


坂本「ほい櫻井」


「あ、ありがとうございます」


カウンターの中からジュースを取り出した店長はグラスに注ぎ、俺の目の前に置いた。


坂本「本当に助かったよ。お疲れ」


「ありがとうございます。お疲れ様です」


俺達は向かい合い、ジュースで乾杯した。


時計を見ると既に深夜2時を回っていた。手伝い始めて約1時間半経っていた。


坂本「遅くなったな。本当悪かったな。松岡も心配してるんじゃないのか?」


「………大丈夫です」


俺は視線を落としながらジュースを飲んだ。


坂本「………櫻井?」


「………最近逢ってなくて…」


坂本「え?」


「ホストになるの…反対してるんです。約束破った俺が悪いんですけど…だから…彼の家にもあまり行って無いんです」


坂本「………そうなのか…」


「たまに行くんですけど…その度に喧嘩になって…だから…今彼と居るのが辛くて…」


坂本「………」


「ごめんなさいこんな話…あ、グラス片付けますね」


頭を切り替えようとグラスに手を伸ばすと…その手に坂本店長の手が伸びて来た。

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