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Starlight Kiss

第9章 tragic love②

「店長…?」


俺の腕を掴んだまま、店長は真っ直ぐに俺を見つめていた。


「あ、あの…」


坂本「………まだまだ子供だって思ってたけど…松岡がお前に惚れた理由が分かった気がする」


「え…?」


坂本「………俺も…お前が好きだよ。櫻井」


「………え…」


そしてその捕まれた腕を引き寄せられ、俺は坂本店長の腕の中に収まった。


坂本「松岡から奪う気はないけど…そんな事言われたら放っておけなくなる…」


「………店長…」


坂本「30過ぎの俺が…まだ19のお前を…好きになるなんてな…」


「………」


坂本「………俺じゃ…駄目か?」


「………」


顔を上げると…優しい目で俺を見つめる坂本店長の顔。
暫く見つめ合ってると…その顔が近付いて来た。


俺は…ゆっくりと目を閉じた。


「ん…」


そっと優しく触れる坂本店長の唇。
でもその腕は…力強く俺を抱き締めていた。


この人と一緒に居れば…きっと幸せになるんだろう。
ホストの仕事も応援してくれる。
毎日ずっと…側に居れる。


でも…でも俺は…。


俺は坂本店長の胸を押し、唇を離した。


「ごめんなさい…俺…俺は…」


坂本「分かってる。ごめんな急にこんな事」


坂本店長は…優しく俺の頭を撫で、笑ってくれた。


坂本「お前が幸せならそれでいい。俺は応援するから」


「………店長…」


坂本「気にすんなって。大丈夫。気まずくなったりしないから」


「………」


坂本「きっと松岡も分かってくれるから大丈夫。駄目だったら俺がぶん殴ってやるから」


笑って言ってくれる店長に俺はつい笑ってしまった。


坂本「ほら。櫻井は笑顔が1番だ。俺もその笑顔に惚れたんだ。だからいつも笑顔でいてくれ」


「………はい」


俺達は笑い合いながら、最後のハグをした。

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