彩夏 ~君がいたから、あの夏は輝いていた~
第1章 友達でいたいのに
「2点入った?!っしゃー!」
「8回表!絶対勝てるじゃん!」
「寺嶋先輩が打ったって!」
補講のある土曜日。
学校は休みだが、希望者だけで行われる授業が
ある。準決勝と決勝の試合だけがテレビ中継
されるため、職員室にこっそり見に行った子が
試合の様子を伝える。
盛り上がる声があちこちで聞こえ、いつの
間にか先生も入って、なんだか自分のことの
ようにドキドキしてきた。
野球部は順調に勝ち進んだ。甲斐たち1年生も
球場にいる。
「これ勝ったら、決勝の応援行けるのに」
美帆がスケジュール帳を開いて言った。
このまま延期がなければ、決勝戦は明日の
日曜日だ。
授業中もみんな、気が気でない。補講の途中に
ついに全校放送が流れた。
『お知らせします。ただいま我が校が3対2で勝利し、明日の決勝戦進出が決定いたしました』
「やったー!!」
あちこちの教室から沸く声が聞こえた。
見上げた空には、高く高く入道雲がそびえて
いた。
夕方、学校に戻ってきた野球部は、また練習を
始めた。
その中で、甲斐と渡辺くんが笑いながら走って
いるのが見えた。
笑っていた。
『おれ、甲子園に行きたい。約束してるんだ、絶対行こうって』
子どもの頃から一緒に野球をしてきた二人が
夢に手を伸ばした。
渡辺くんが投げて、甲斐が受け止めて。
二人で約束した甲子園が、すぐそこにある。今年はレギュラーではないけれど、それでも
二人にとっては関係なかった。
来年、再来年の自分たちが、そこにいるの
だから。
「8回表!絶対勝てるじゃん!」
「寺嶋先輩が打ったって!」
補講のある土曜日。
学校は休みだが、希望者だけで行われる授業が
ある。準決勝と決勝の試合だけがテレビ中継
されるため、職員室にこっそり見に行った子が
試合の様子を伝える。
盛り上がる声があちこちで聞こえ、いつの
間にか先生も入って、なんだか自分のことの
ようにドキドキしてきた。
野球部は順調に勝ち進んだ。甲斐たち1年生も
球場にいる。
「これ勝ったら、決勝の応援行けるのに」
美帆がスケジュール帳を開いて言った。
このまま延期がなければ、決勝戦は明日の
日曜日だ。
授業中もみんな、気が気でない。補講の途中に
ついに全校放送が流れた。
『お知らせします。ただいま我が校が3対2で勝利し、明日の決勝戦進出が決定いたしました』
「やったー!!」
あちこちの教室から沸く声が聞こえた。
見上げた空には、高く高く入道雲がそびえて
いた。
夕方、学校に戻ってきた野球部は、また練習を
始めた。
その中で、甲斐と渡辺くんが笑いながら走って
いるのが見えた。
笑っていた。
『おれ、甲子園に行きたい。約束してるんだ、絶対行こうって』
子どもの頃から一緒に野球をしてきた二人が
夢に手を伸ばした。
渡辺くんが投げて、甲斐が受け止めて。
二人で約束した甲子園が、すぐそこにある。今年はレギュラーではないけれど、それでも
二人にとっては関係なかった。
来年、再来年の自分たちが、そこにいるの
だから。