テキストサイズ

いつまでもここに居て

第7章 緋色のdance[52]



□松本part□


「ねえ、潤。これ知ってる?」
「何…仕事中だぞ…」
カタカタとキーボードを鳴らしている職場で二宮先輩が話しかけてきた。
「イイじゃんよ…ね、これこれ。見るだけでいいから」
ふと、隣を見るとこの町で起きた連続殺人事件の記事。

「これ…最近の、」
「そ。巷ではすげー噂になってんの。多分愉快犯なんだろうね。こんなことゲーム感覚でしてるっていうから世の中平和ボケだよね~」

「うるさいぞ〜!!」
スパーン!
「「痛っ!」」

「なんの話してんのさ?楽しそうじゃん」
スリッパで俺と二宮先輩は雅紀先輩に叩かれた。
それなのに話に食いついてきている。

「ちょ…雅紀…!話に乗るな…!!」
「ほら…!二宮先輩!大野先輩も怒ってますよ…!」
「まあまあ…!!雅紀先輩も気になりますよね!?ほら!」
「どれどれ…あー!これね。すごい有名だよねー大野さんも知ってるよね?【緋色殺人事件】。」

そう。【緋色殺人事件】
真夜中の夜。声をかけられる。
するとどういう訳か次の日には地面には沢山の血が散っているのに身体はいつまで経っても見つからない事件。

「大野さんも気をつけてくださいね?」
「大丈夫だよ。雅紀、最近はずっとないみたいだし、それにちゃんと条件があるらしいから」
「え、何それ!?大野さん教えてくださいよ!」
「まあまあ、ニノ落ち着けって…要するに【頭が固い】奴が捕まるんだってさ」
「ぶはっ!!そしたら完璧潤じゃん!!」
「え!?俺!?」
「そうだよ…!!だって俺に「二宮先輩ここ違いますよ」とかさ?人には間違いの一つや二つあるもんですよ?」
「…二宮。多分それはお前が悪いよ。」
「雅紀先輩…」

ギャーギャー騒ぐ二人を見ながら俺は静かに今日の夜を考えた。
誰にも言えない秘密の夜を俺は心を震わせて待った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ